今回は、「日経累進高配当株指数」通称「しっかりインカム」の中の全30銘柄についてみていこうと思います。
以前にもしっかりインカムは紹介しましたが、改めてまとめると、国内に上場する銘柄のうち、配当金に関して減配せず増配か維持を続けている銘柄の中から、予想配当利回りの高い銘柄を選んだ株価指数になります。
少し前に「iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF」に関する記事を書きましたが、このETFが連動を目指している指数は、高配当で財務健全に重きを置いた指数ですので、方向性が少し違いますね。しっかりインカムの方が、減配のリスクが低くなります。
それでは早速中身を見ていきましょう。
日経累進高配当株指数「しっかりインカム」の全銘柄について、株価(9/12時点)、PER、PBR、MIX係数(PER×PBR)、配当利回り、自己資本比率、前期の配当性向を調査し、表にまとめてみました。

MIX係数、配当利回り、自己資本比率、配当性向には数値がいい順に濃いオレンジ、薄いオレンジの色塗りをしています。
上記の一覧表から、配当性向が高かったり、前期が赤字である銘柄を除いて、
東ソーは、基礎化学から高機能材料・ライフサイエンスまで幅広く手がける総合化学メーカーです。塩ビ素材や化学品の苛性ソーダなどは国内大手であり、一方で半導体やバイオ材料についても強みを持っています。国内外でさまざまな産業を支えている会社ですね。
そんな東ソーのIR BANKデータはこちら

売上は右肩上がり、営業利益、純利益も長期的にみて安定しています。

総資産・純資産ともに順調に伸びており、自己資本比率も6割超えと健全です。有利子負債比率が低いのもいいですね。

1株配当は階段状でいい伸びです。その割には配当性向が高すぎず、いい感じです。
化学メーカー大手で業績も自己資本比率も配当も安定。なかなかな優良銘柄ですね。
東京センチュリーはオリックスや以前に紹介した三菱HCキャピタルと並ぶ、大手リース・金融サービス会社です。伊藤忠商事グループの一員で商社のネットワークを活用した事業投資に強みを持っており、IT機器や産業機械、自動車などのリース事業などに強みを持っています。
IR BANKを見てみましょう。

売上は見事な右肩上がり。営業利益・当期純利益も長期的にみて伸びています。

自己資本比率が15%と低いのは金融業だからなので、こんなものでしょう。一方で、有利子負債比率がどんどん下がってきてますね。

一株配当はこちらも階段状の素晴らしい伸び。配当性向も2023年を除いて35%程度と低めで、これからまだまだ増配の余地もありそうです。
おすすめポイントはやはり増配の余地があること。増配株は増配が発表されるたびに株価が伸びることが多いので、キャピタルゲインも期待できます。加えて好業績、財務健全なので、投資する価値ありですね。
飯田グループホールディングスは、日本最大手の住宅メーカーグループで、戸建て分譲住宅の分野で圧倒的シェアを誇ります。標準化した自社施工や大量仕入れによって住宅を低価格で大量供給でき、またマンションや不動産仲介などの業務も手掛けています。
早速IR BANKいきましょう。

収益は右肩上がりで順調です。営業利益も堅調ですね。

自己資本比率は50%台で安定。有利子負債比率が高いのは住宅メーカーだけあって仕方ないでしょう。

会社が発足した2013年度以降、一度も減配したことがありません。そのまま続けていってもらいたいですね。配当性向は50%前後なのでまずまずです。
業績安定で株主還元の姿勢が強く、戸建住宅に最大の強みを持つハウスメーカー。ハウスメーカーは景気や金利の影響を受けやすい業種ですが、低価格帯住宅は不況時にも一定の需要があるので、なかなか盤石な銘柄ですね。
今回は詳細については述べませんが、以前紹介した、日本ゼオン、日本化薬、三菱HCキャピタルももちろんおすすめです。いずれも好業績、財務健全で増配が期待できる銘柄ですので、ぜひ調べてみてください。
一方で、武田薬品工業やアステラス製薬、LIXILなどは、配当性向が200%を超えていました。LIXILはびっくりの1200%超え!!
これは稼いだ額の2倍以上を株主に還元しているということで、これが長く続くと財務状況が苦しくなってしまいます。武田薬品工業は2年連続200%超えなので、もしかしたら今後減配の可能性も否定できないかもしれません。その点は注意が必要ですね。
以上、今回は「しっかりインカム」指数の中の30銘柄を調査し、3銘柄をピックアップしてみました。
全銘柄調査して感じたのは、累進配当として採用された指数だからと言って、どの銘柄も優秀かと言えば、そんなことはありません。
前期が赤字だったり配当性向が著しく高かったりする銘柄もあって、採用された全30銘柄を検討もせずに買ってはいけないということですね。
皆さんも、良指数だからと言って慢心せずに、自分で納得がいくまで調べてから投資するようにしましょう。
※投資は自己責任でお願いします。