投資の勉強をしていると、ROEという言葉が出てくると思います。ROEとは何なのでしょうか。高いほうがいいのでしょうか。
今回は、このROEについて簡単に解説していきます。
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ROEとは、Return on Equityの略称で、日本語では「自己資本利益率」と訳されます。ざっくり言うと、企業が株主から預かった自己資本を使ってどれだけ効率的に利益を上げたか、を表す指標です。
自己資本とは、株主から出資してもらったお金と、毎年稼いだ金額のうち会社に残したもの(内部留保)の合計値です。
ROEの計算式は、
ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100 になります。
株主からの視点で見ると、「出資した金額がどのくらい増えて帰ってくるか」がROEということになります。高ければ高いほど、自己資本を効率的に使って利益を稼いでいるという評価になります。
ROEはどのくらいあれば優秀なのでしょうか。
一般的には、ROEが8~10%以上あると、効率がいいと評価されるようです。
ただ注意しておきたいのが、もう一度ROEの計算式を見てもらえばわかる通り、自己資本が小さければ小さいほど、ROEの数値は高くなります。
すなわち、自己資本があまりなく、多額の借金をしてそのお金で稼いでいても、ROEは高く見えるわけです。この場合はあまり財務健全とは言えないので、注意が必要ですね。
これを回避するためには、自己資本比率を合わせて見て、それを同業他社と比較してみると、罠銘柄を避けることができます。
例えば、コンビニチェーンのポプラとスリーエフを比べてみましょう。
ポプラ【7601】 | スリーエフ【7544】 | |
EPS(1株当たり当期純利益) | 20.96 | 33.01 |
ROE | 59.82% | 7.72% |
自己資本比率 | 20.6% | 75.3% |
ポプラはスリーエフと比べるとROEが非常に高く、効率的に稼いでいるように見えますが、自己資本比率が20%台とかなり低いです。一方のスリーエフは自己資本比率が高く、財務健全な様子がうかがえますね。
このように、単にROEだけではなく、自己資本比率なども一緒に見て、銘柄調査をしましょう。
それでは、高ROEな銘柄はどんなものがあるか、見ていきましょう。
SBIスクリーナーで以下の条件で銘柄検索してみました。
・ROE 10%以上
・自己資本比率 70%以上
・配当利回り 3~6%
・PER 15倍以下
・PBR 1倍以下
得られた一覧表がこちらです。

この中から気になった銘柄をピックアップします。
日本新薬はその名の通り新薬メーカーですが、がんや血液、循環器などの専門性が高い医療用医薬品を中心に展開しており、ニッチ領域に特化した研究開発力のある会社です。その他健康食品やスポーツ食品の分野も手掛けています。
IR BANKで業績等見ていきましょう。

売上は右肩上がりでいい感じです。営業利益・当期純利益も堅実に伸びてますね。ROEは10年近く10%を超えており、資本が効率的に生かせているのがわかります。

自己資本比率高いですねー2008年以降70%を下回ったことがありません。有利子負債比率も多くなく、財務健全です。

一株配当は15期連続非減配と優秀です。配当性向も25~35%程度でまだ余力がありますね。増配も期待できるのではないでしょうか。
MIX係数も6.17とかなり割安感があり、ROEも高く連続非減配のこの銘柄。中期経営計画を見てみると、「DOEを勘案しながら安定的な配当を継続する方針」とのことなので、株主還元にも積極的であるようです。今後も注目ですね。
三協フロンテアは、ユニットハウスやトランクルームなどを中心とした、モバイルスペース事業を手掛ける会社です。仮設事務所や仮設住宅などを、スピード感やコスト重視で作っています。
業績等はこちら。

売上や当期純利益は右肩上がりで伸びています。ROEがここしばらく二桁超えと調子がいいですね。

自己資本比率が少しずつ上昇しており、現在70%を超えています。有利子負債も下げてきています。

一株配当は2018年と2023年にわずかに減配がありますね、もったいないです。配当性向も大きくない中で下げてしまっているので、減配が懸念点ですね。
以上、三協フロンテアでした。MIX係数7台と割安で、配当利回り4%台と高いのですが、減配の可能性が否定できないのが玉にキズですね。おしいところです。
名古屋電機工業は、主に道路インフラ・交通安全分野の情報表示装置を製作する会社です。高速道路や一般道で使用される電光掲示板などを作っており、製造だけでなく設置から保守、修理も担当できる体制を持っています。主な取引先が国土交通省、地方自治体、高速道路会社など官公庁が中心であることから、安定した需要があります。
そんな本銘柄のデータがこちら。

売上は大きく伸びているわけではありませんが堅実です。ROEも9~10前後あり高めですね。

自己資本比率がどんどん伸びており、8割を超えました。

一株配当、2016年にわずかに減配しちゃっていますが、その後は順調な伸びを見せてくれています。配当性向も22.6%と大きくなく、今年度も増配をしてくれるようですので、今後も期待ですね。
官公庁がお仕事相手なので、仕事はまずなくならないでしょう。今後も堅実な伸びが期待できるこの銘柄、いかがでしょうか。
以上、今回は、ROEについて解説し、ROEが高めで、割安高配当な銘柄をご紹介しました。
上にも書きましたが、ROEは単独で見るのではなく、ちゃんと自己資本比率と合わせてみることで、罠銘柄を回避することができます。この点は注意してくださいね。
※投資は自己責任でお願いします。