前回で株の買い方・売り方がわかったところで、続いては銘柄を選ぶために重要なことをお伝えしていきます。
結論を言ってしまうと、銘柄選びには「割安さ」が超大事になってきます。
今回はその「割安さ」について、解説していきたいと思います。
まず大前提として、銘柄を選ぶ際、株は「いい株」を選ぶ必要があります。ここでいう「いい株」とは、利益をしっかり伸ばしてくれる会社ですね。
この「いい株」を、割安価格で買うことが鉄則になります。割安とは、その株の価格が会社本来の価値に比べて低く見積もられている状態のことです。簡単に言うと、魅力的な株なんだけど、まわりからまだ注目されていないってことですね。
世界的な大富豪で、「伝説の投資家」であるウォーレン・バフェットさんも、「割安さこそ、投資で成功するために大切」なことと言っています。
また日本の投資家で、投資によって資産3.7億円を築いたヘムさんも、自身の著書『「増配」株投資』という本で、「バリュー投資」という、”現在の株価がその企業の利益や資産等から判断して割安であると思われる銘柄を買う投資手法”を推奨し、実践しています。
もちろんいくら割安でも、会社の本来の価値に近づかない銘柄では意味がありませんが、大成功している投資家の方々が大事と断言しているので、割安さは極めて重要といえますね。
では、どうやって銘柄の割安さを調べていけばいいのでしょうか。
簡単な方法として、PERおよびPBRを見る、というのがあります。これらの数値は、ヤフーファイナンス等で簡単に見ることができます。下にMS&ADの情報を載せます。赤四角で囲んだところにPERとPBRが載っていますね。

次から詳細をそれぞれ説明していきます。
まずPERですが、「Price Earnings Ratio」の略で、株価収益率と訳されます。この指標では、会社の利益から見て、今の株価が割安かどうかがわかります。
計算式は、PER = 株価 ÷ EPS(1株当たり利益) です。
※EPSとは1株当たりの当期純利益で、当期利益÷株式発行数 で求められます。
株価が1000円で、EPSが100円なら、PERは1000 ÷ 100 = 10倍 となります。
株価が2000円で、EPSが100円なら、PERは2000 ÷ 100 = 20倍 です。
利益の20倍で買うよりも、利益の10倍で買う方が割安ですよね。このように、数字が低い方が割安といえます。
PERの標準は15倍程度であり、業績が安定している会社なら、PERは15倍程度でもおかしくはありません。一方で、利益が伸びそうなのに、PERが低くなっている銘柄がねらい目になります。特に業績が安定しているのに、PERが1桁台で割安放置されている銘柄は要チェックです。
ちなみに利益が赤字(=EPSがマイナス)の時は、PERを計算できないので、その時はPBR使って割安度を測ります。
次にPBRですが、「Price Book-value Ratio」の略で、株価純資産倍率と訳されます。この指標では、今の株価が1株当たり純資産に比べて何倍になっているかがわかります。
計算式は、PBR = 株価 ÷ BPS(1株あたり純資産)です。
※BPS(1株当たり純資産)は、会社の純資産(資産-負債)÷株式発行数 で求められます。
純資産は、株主が最初に出資した金額+会社が稼いだ利益を蓄積したものを加えた金額であり、株主から預かっている資産と言えます。これを株式発行数で割れば、1株当たりの純資産、BPSが算出できます。
BPSは会社が解散した場合に株主に配分される資産となり、解散価値とも言われます。つまり、PBRは1倍が解散価値です。そして本来は、そこにブランド力や技術力が加わるため、会社の価値は解散価値以上になるのが普通で、PBRは1倍より大きくなるのが標準です。
ところが実際には、PBRが1倍を下回る会社が出てきます。その理由は、赤字続きのダメダメな会社だったり、優良企業だが何かの理由で株価が下がっている会社だったりします。ねらい目は当然後者ですね。株価が下がっている理由にもよりますが、海外の情勢などの影響を受けてつられて一時的に下がっているなどの場合には、株価がまた上がってくる可能性が大きいですので、注目すべき銘柄になります。
なので、PBRは1倍より低いほど、割安であると考えられます。
PERとPBRについてザックリと説明したところで、MIX係数というものを紹介したいと思います。
MIX係数は、「バリュー(割安)株の父」と呼ばれるアメリカの投資家、ベンジャミン・グレアムさんが提唱したもので、
MIX係数 = PER × PBR で計算できます。
ベンジャミン・グレアムさんは「伝説の投資家」ウォーレン・バフェットさんのいわば師匠的な存在で、この人もバリュー株投資を実践していました。バリュー投資の父とも言われています。
そんなレジェンドが提唱したMIX係数、計算式自体はとても簡単で、PERとPBRさえわかればすぐ求められます。上記でそれぞれの標準はPERが15倍、PBRがだいたい1倍でしたので、
MIX係数 = 15 × 1 = 15 となります。
数億円の資産を築いた凄腕投資家のみきまるさんによると、みきまるさんの経験上、MIX係数が5未満の銘柄では致命的な敗北を喫したことがなく、2未満だと負けなしだそうです。すごいですね!
ここで実際のPER・PBR・MIX係数について、いくつか例を見てみましょう。

上記の通り、卸売業の銘柄、および情報・通信の銘柄の中でメジャーなものをピックアップしてみました。
やはりここら辺の企業はどこも有名なので、MIX係数が高いです。
ソフトバンクに至ってはPBRが4倍を超えており、MIX係数が80倍を超えているので、超割高ですね。ソフトバンクは現在株価が228.2円と安く、配当利回りも3.77%とまあまあ。さらに100株で株主優待をもらえるので、初心者の方も手を出しやすい銘柄ではあるのですが、割高感がすごいので、100株だけガチホして、それ以上の購入は控えた方がいいかもしれませんね。
続いて折角なので、僕が最近購入した銘柄の一部を紹介したいと思います。

MIX係数が低く、配当利回りが4%程度からそれ以上なものを選んでいます。ジーテクトなんかはMIX係数が3%台とかなり割安ですね。もちろん業績が比較的安定しており、自己資本比率が高めの銘柄を選んでいますよ。業績や自己資本比率など、各銘柄の細かい分析については後々書いていきたいと思っています。
以上、今回は「割安さ」について説明してきました。
割安で配当利回りが高い銘柄は、配当金をいっぱい貰いながら、値上がりも期待できるので、おすすめですよ。
皆さんもぜひ、割安な株を見つけてみてください。
※投資は自己責任でお願いします。