前回の最後に、株を買うときはネット証券で口座を開くことをお勧めしました。
ただ、口座を開く際に注意すべき点があります。今回はそれについて解説していきたいと思います。
ネット証券の口座開設を申し込もうとするとき、以下の口座を選ぶことになります。
- 特定口座(源泉徴収あり)
- 特定口座(源泉徴収なし)(簡易申告口座ともいう)
- 一般口座
これらの口座の違いですが、簡単に言ってしまうと、税金の納め方が変わってきます。
投資では通常、譲渡益や配当金の約20%(2037年までは別途復興特別所得税0.315%追加)を税金として納めなければなりません。
もし一般口座を開いた場合、税金を納めるには、その年1年の損益を自分で計算し、確定申告をしなければなりません。
一方で、「特定口座(源泉徴収あり)」という口座があります。この口座では、譲渡益や配当金が発生するごとに、証券会社によって税金金額が計算され、その分がひかれた状態(源泉徴収された状態)で譲渡益や配当金が入金されます。つまり自分で確定申告する必要がないのです。サラリーマンの方は基本的に確定申告はしてないと思いますので、手続する必要がないこちらの口座を選んでおくといいでしょう。
ちなみに、特定口座にはもうひとつ、「特定口座(源泉徴収なし)」という口座があります。こちらは、譲渡益や配当金から源泉徴収はされないため、確定申告をしなければいけませんが、年間取引報告書を作成してくれるので、自分で計算する手間を省いてくれます。
どの口座にするか迷ったら、確定申告する必要のない特定口座(源泉徴収あり)を選ぶのが無難でしょう。
NISAという言葉を目にした方も多いのではないでしょうか。
一般口座や特定口座では上記の通り、譲渡益や配当金に20%程度の税金がかかりますが、NISA口座ではこれがある程度の金額まで非課税=税金がかかりません!
例えば10万円の譲渡益がでたら、本来ならそのうち約2万円が税金として引かれますが、NISA口座であれば、10万円まるまる手元に入ってくるのです。このお得な制度を使わない手はないですよね。
NISAは2024年1月から新制度がスタートしています。この新NISAの重要ポイントを整理すると・・・
- つみたて投資枠と成長投資枠がある
- つみたて投資枠は、投資信託など積立投資のみ利用可能
- つみたて投資枠は年120万円、成長投資枠は年240万円まで投資できる
- 非課税となる保有限度額は成長投資枠1200万円まで、計1800万円まで
- 非課税となる保有期間は無制限
ということで、毎年枠いっぱいまで投資をすると、満額の1800万円(つみたて投資枠600万円+成長投資枠1200万円)まで最短5年で到達しますね。1800万円を年4%で運用できれば、年72万円の利益、本来取られる税金は72万円×20.315%=約14.6万円と、毎年15万近くが非課税になる計算になります。これはおいしい!
このようにお得なNISA口座ですが、注意点として、損益通算や繰越控除ができません。
損益通算とは、利益と損失を相殺することで、課税対象となる所得を減らす仕組みです。
また繰越控除とは、ある年に発生した損失を翌年以降に繰り越して、その年の利益と相殺し、課税対象となる所得を減らす仕組みです。
たとえば特定口座内では、譲渡益30万円、損失20万円出た場合、確定申告にて利益から損失を差し引くことができ、税金は損益通算後の利益10万円にしかかかりません。
しかし、NISA口座ではそもそも非課税のため、損益通算ができません。また、口座間での損益通算もできないので、例えば特定口座にて譲渡益30万円、NISA口座にて損失20万円だった場合でも、税金がかかってくるのは10万円ではなく30万円になります。
このように、NISA口座では損益通算や繰越控除ができないため、なるべく損失を出さない安定した商品を選ぶことや、短期投資のように頻繁に売買せず、配当金目当てで長期保有を心がけるのがいいと思います。
このことを頭に入れたうえで、上手にNISA口座を活用して節税していきましょう!
※投資は自己責任でお願いします。